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御料車-第1号(三代目) |
昭和天皇・皇后両陛下の御乗用として昭和35年10月に完成した三代目となる1号御料車です。
外観は一新されて、当時出現した20系特急客車にも似た総平張りの固定式窓となりました。
が、車体寸法や当時流行り始めた腰部の膨らみや深い屋根などは模倣せず、旧来の客車に準じた仕様となっています。
このあたりは一緒に編成を組む供奉車との兼ね合いも考慮されたものと推測されますが、
これまでの漆塗りからハイソリッドラッカー塗装鏡面仕上げに上下ニ篠の金箔帯を巻き、
Rのついた窓枠は全て純金メッキが施され、全室空調完備により窓ガラスは強化タイプの二重式固定窓となるなど、やはり当時最新・最高の技術が惜しみなく注ぎ込まれています。
台車も軸距2300mm(営業車は2100mm)に横揺れ防止オイルダンパやアンチローリング機構を備えた専用設計のTR-65形を履き、乗り心地の向上に貢献しています。
室内割りは二代目のそれを踏襲し、出入台・次室・御座所・御休憩室・御化粧室・御厠の順になっていますが、旧来あった御剣璽室が廃され、また後部出入台は配電室とされています。
内装は桃山様式をベースとした総絹張りで、歴代御料車に見られた室内の木部飾枠等は一切無くなり、近年の吹上御所にみられるような和風モダンともいえるスッキリとした仕上がり。
御座所の天井にはアクリル板越しに20W蛍光灯を80本も収めた「光天井」と呼ばれる1000ルクスもの明るさをもつ昭明が備わり、黄金調暖色系の内装と相まって、奉迎者への答礼に立たれる陛下のお姿を柔らかく際立たせるものになっています。
一方の御休憩室は室町時代の寂の趣を取り入れ、白熱灯の柔らかな明かりとともに気品に満ちた落ち着いた雰囲気に仕上げられています。
戦後復興に邁進する国民を激励される天皇皇后両陛下と共に日本全国を駆け回ったこの車両が、現在の私たちには一番馴染みの深い「御召列車」であることは間違い無いでしょう。
しかしその時代の主役も、平成19年7月の四代目ハイテク御召電車「E655」の登場により、相棒の牽引機EF5861と共に大役を終える事となりました。 |
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用途 : |
昭和天皇・皇后陛下御乗用 |
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製造年 : |
昭和35年10月 |
製造所 : |
国鉄・大井工場 |
形式 : |
鋼製2軸ボギー車 |
台車 : |
2軸ボギー(TR-65) |
外寸(mm) : |
19500×2800×3865 |
自重 : |
40.05t |
特記: |
製造費:58,865,102円(現在の貨幣価値で12,330万円) |
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